不自由な手を伸ばして棚をあさったところ、うっかりして落ちてきたDVDが『カティンの森』だった。
うーん、アンジェイ・ワイダか!
昔はこの手の映画をよく見てた、否、「見てた」どころの段ではない、積極的意識的に見るほうだった(笑)。が、たまたま来客と見たその時は、「暗い」「重い」「やりきれない」印象で、以後「トラウマ映画」の範疇に「お蔵入り」してきた。
来客氏は「伝説的サイト」として有名な元サイト主・死ぬのはやつらだ氏だったが、映画は冒頭から凄かった。
「ナチ・ドイツが攻めてきた!」
と、大あわてで逃げる群衆。ところが橋を渡っていると、向こうからくる群衆も、
「こっちからはソ連が襲ってくるぞ!」
そうして挟み撃ちに遭って逃げまどい、混乱する姿が、そのまま当時のポーランドの国情と悲劇をまざまざと、赤裸々に伝え、それゆえ暗くて重いやりきれない問題作なのだ。
とにかくソ連、いまでいうプーチン政権下のロシアだが、この国は昔から印象が悪い! オレも左翼のはしくれだから、五味川純平の大河小説『人間の條件』やら『戦争と人間』やらの映画化では、映画館にも夢中で走ったクチだが、主人公たちが捕虜となって落ち行く先が、作者の経験からだろうが中国でなく、いつもソ連なんだよね。で、当時ソ連は「解放軍」なんだが、いくら解放軍だって取りこぼしや、事故や、誤解が招いた悲劇も起こるわけで、それら現実に則した描写も遠慮がちでね、とにかくかばいきれないわけだ。
そういう背景があったりして、それを思い出しながら見る『カティンの森』も一興だ。
「画像は2017.5.29 10:20産経ニュースより」って入力しかけたところで、鮮明! 迫力! 情報量のすごい『カティンの森』画像見つけたので、急遽これに差し替えた!(爆)