自分で自分のことを紹介するのに、それまでは黒澤明の『羅生門』がカンヌでグランプリを取った年といってたのだが、いつの頃からか「その前年に、あの『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドが映画デビューした年」ともいっていた。
それが1950年!
映画史的には、翌年1951年のアカデミー賞4冠に輝いた『欲望という名の電車』出演が「名誉」ともなろうが、俺の印象に色濃く焼き付いているのは、はじめてスクリーンデビューした作品における、マーロンその人の役柄——強烈な存在感なのだ!
開巻と同時に「the man」のタイトル(画像上)。
第二次大戦——戦争映画の様相を呈した冒頭は数分にも満たなかった。一分もあったのか、なかったのか。索敵パトロール場面は、ただの一発の銃声によって撃ち破られる。そのとき放たれた敵弾は一人の兵士を背後から撃ち抜き、場面は一挙に病院病床の白いシーツにくるまったマーロン!
彼のほんとうの戦いはそこからだった。
苦しいリハビリ(上から2枚目は、車イスのキャスター上げをするマーロンのめずらしい写真! これは障害者でも馴れるまでむずかしいよ)。恋人はいたものの、傷害による性的不能は二重に彼を苛んだ。それに加えて社会の偏見。行く先々で車イスの彼と、健常な彼女を見くらべ、心ない視線となって二人を追いつめる。男は自暴自棄となり、ハイウェイをぶっ飛ばして捕まり、また病院に逆戻り(以下リンクで、レビュー氏vadimさんが書いているように、下画像でも見られるように、登場する傷病兵役のほとんどの人がホンモノの障害者という! すごい役者だよ、ほんとうに名演技だったんだから!)——
●参考リンク●●
アマゾン販売『男たち』【字幕版】 [VHS]
ここまでリアルに描ききった正に描破というべき「障害者映画」の秀逸! 1950年という時代にこれだけの障害者映画が存在したという愕き! それまではヘレン・ケラー『奇跡の人』(アメリカ1962年、日本公開は翌年)だけを障害者映画の傑作とのみ信じて込んでたが、それより10年以上もまえにこんな凄い映画があったとは!?
こんな名画がVHSのみ、しかも1万円もの値が付いているとは! なんとかならんものかね。衛星で観られる人は、CSでかかるのを待つことだね。
なお、俺の場合Google検索だったが、「Marlon Brando the man」と打ち込んで試してもらえば、かなりの場面がでてくるので、それを見て参考にして欲しい。