ひさしぶりに『沈まぬ太陽』のDVDを見た。
渡辺謙を「じっくり」見てみたかったからだ。というのも、2014年版『ゴジラ』の渡辺謙が、あまりにも役不足に過ぎたからだ。あらためて『沈まぬ太陽』を見て「もったいない」感を強くした。
山崎豊子原作も過去には読んでいる。
長い小説だった。狭い我が家ではスペースにも事欠き(文庫本で、それはないか)(笑)、全5巻中「第3巻 御巣鷹山篇」のみ取ってある。というか、これだけ異彩を放つ「別格感」が強く、小説というより実録ドキュメントといった体なのだ。
『沈まぬ太陽』をはじめてテレビで見たのは、[2011年2月11日]。[『金曜ロードショー』を枠拡大した『金曜特別ロードショー』として、約4時間にわたり本編ノーカットで地上波初放送された。](ウィキペディア)偶然、知人から直近で放映を知らされ、期待せず見たため録画はしてなく、DVDはあとから買ったものだが、その一月後が東日本大震災ということで、いまから考えれば別の感慨も深い。
モデルとなる日航の体質、労組間の確執がこれでもかと描かれ、極太の社会派路線で押し通した。批判も多いが俺は満足した。会社側の執拗な懲罰人事のおぞましさに、「なんでそこまで」「こんな会社とっとと辞めちまえばいいのに」と突き放した思いだったが、それこそが経営側の思うツボ、働く者は使い棄てされるだけ、という本質に気づかされ、いつのまにか見ているこっちまで謙さんら組合側・はたらく労働者側に強く感情移入させられていく、そのストーリーテリングの妙に感心させられた。
ただ、しかし、アフリカやイラン、テヘランに勤務することが「懲罰人事」といわれてもなー。見ていて、どうとらえたらいいのか迷う一面もあった。所詮は宮仕え、一介の企業人の話なんだ。
とはいえ一流も一流、下っ端のぺえぺえからすれば超エリートの世界だよ。