アニメの『風が吹くとき』は「ソフトがない」「見てない」理由から外すことにして、それ以外「世界の終わりを描いた映画」10選。
『遊星からの物体X』
『猿の惑星』
『ディープ・インパクト』
『世界大戦争』
『宇宙戦争』
『ゴジラ』
『未知への飛行』
『トゥモロー・ワールド』
『渚にて』
『グエムル—漢江の怪物』
突っ込まれるまえに断っとくが(誰も突っ込まないか)(笑)、「終わった感」の映画は一本きりで(日本の東宝『世界大戦争』)、あとはおおきく分けて「終わり途上」か「このままなら終わる」というパターン。そこで人類が生き残りを賭けてどう闘うか、未来を切り開くか、という作りになってる。
きょうは『トゥモロー・ワールド』について紹介してみたい。
なんとこの映画、[前田有一の超映画批評]が100点満点の90点を付けてた! 前田有一とは自分から「ネトウヨ」を名乗ってる映画評論家だが、映画の審美眼はたしかだ。
それが90点とは尋常じゃない。
舞台となるのは2027年のイギリスだが、このころには世界中が何が原因か「無子社会」で、このまま子種ができないと人類は死に絶えるというんだから、これ以上の「世界の終わり」映画はない。
こんな希望のない世界だから内戦やテロが横行、政府機関に勤める主人公セオ(クライヴ・オーウェン)はのっけから爆弾テロに遭遇する。彼は元妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)の地下組織に拉致され、ある不法滞在者の女を国外に逃すための秘密のルートを確保して欲しいと依頼される。
女は黒人で、キー(クレア=ホープ・アシティー)という少女。彼女はなんと、妊娠していたのだ。神か奇跡か、偶然の僥倖だが、こんなことが知られれば世界は蜂の巣をつついた騒ぎになり、キーの身にも災いが降りかからないでもない。そこでキーを安全地帯の保護機関に逃がす手引きをと、政府の要職に就いているセオに依頼、しかしその途上暴徒に襲われ、ジュリアンは撃たれて死に、身重なキーを連れて単身セオは危険な脱出行に着手するという展開。
面白かった。味方の一人もないなか、危険渦巻く内戦のなかをくぐり抜けてゆく波瀾万丈がぐいぐい胸を締めつける。戦闘場面も半端じゃない。この監督(アルフォンソ・キュアロン)、長回しが得意といわれ、臨場感を持続する効果の有名なワンカットがいくつかあるが、ラスト8分間(ウィキペディアでは6分16秒)(何なんだよ!)(笑)で俺は黒澤の『七人の侍』を思い出したぞ。
というのも、七人の侍大将・勘兵衛(志村喬)の、「残るは13騎! これは全部村に入れる。村に入れて、村の対出(漢字がこう書くかどうか自信ないが、〈ついで〉と読む)で挟み撃ちだ!」からはじまる、豪雨の中の乱戦入れた8分を、俺は世界映画史上最高、最強、最高傑作の8分と讃えるからだ。キュアロン監督にその意識があったかどうかは知らないが、そう思って見ると感慨深い。
そういった戦闘場面の妙ばかりでなく、全篇にわたって描かれる終末感と退廃、荒涼としてザラついた映像イメージは、見る者すべてに「現実、映画の世界にいる感」を抱かせずにおかないだろう。こういう映画が好きな方にはゼッタイ喜ばれること間違いない。
●解説リンク●●
ユーチューブ動画から『町山智浩が映画『トゥモロー・ワールド』を語る』
また見たくなった。
が、そのまえに『グエムル』をもう一度見よう(笑)。
画像は終わり近くのシーン。「トゥモロー・ワールド」なんて片仮名タイトル使ってるが、じつは日本人が勝手に付けた邦題。すでに町山さんがいってると思うが、原題は「Children of Men=人類の子供たち」。
ひさしぶりに『プライベート・ライアン』が見たくなった。って、7月13日の記だけどね。また、なんの脈絡でもない。ただ、ドンパチが見たくなっただけ。しかもあれなら、ドイツ兵とアメリカ兵の殺し合いだから日本人の俺は気楽に見てられる(笑)。