藤本義一が死んだ。
小説家なんだってな。
とはいえ、氏の作品はひとつも知らないか読んでも憶えてはおらず、すこしは読んだ森村誠一とセットで記憶している不思議——と、全部書き終えて画像を探したのだが(だからこの段落のこの部分は付け足し)、いやーっ! あると思わなかったこの画像! もちろん当時のものです。
[森村誠一公式サイト]より無断拝借。
昔、日テレで『11PM』の司会をしていて、その軽薄さから小説家などというイメージからは遠いのだが、とはいえこの『11PM』、曜日ごとの司会者によってパターンがあって、藤本氏の場合は「硬派なハダカ」な傾向があったように思う。
ハダカに硬派も軟派もあるかといわれるかも知れないが、エロ映画にだって大蔵映画のピンクもあれば日活ロマンポルノのピンクもあり、さらには残酷エログロな拷問路線もあるわけで、俺流に解説すればこの拷問路線に森村誠一登場の回が入れられようと、かなり拷問、じゃない強引に(苦笑)こじつけた。
森村誠一といえば推理作家というのが一般的だが、ぱっとウィキペディアを出して見ただけで[「時代小説」「ノンフィクション」など]の紹介になってる。失礼をかえりみずいえば、社会派であることと同時に、こんなところも「松本清張を気取ってる」と悪意に勘ぐりたいところだ。
この「ノンフィクション」の部分の代表作が『悪魔の飽食』だろう。戦中、日本の謀略機関七三一部隊による人体実験・生体解剖の実態を描いた強烈な内容で、俺は当時、あんまり真面目でなかったが、いちおう共産党の党員として機関紙・赤旗を取っていたので世の人々よりは先にそれを読むことができた。『悪魔の飽食』は赤旗連載だった。
ひと頃、掲載していた写真に「捏造(ねつぞう)」疑惑が出て叩かれたが、いまはどうなってるのだろうと検索したら、『新版』が出てるのだね。それにしても相変わらず叩かれてるが(笑)、どうせ「侵略はなかった」「従軍慰安婦もいなかった」と言い張るネトウヨの類いだろう。
可笑しいのは「ナチの焼き直し」といってることだ。それならあったということだろう、と反論しようと思ったが、そういうデタラメをいうくらいなら「ホロコーストもなかった」と思ってるのだろうから、なにをいっても馬の耳に念仏だ。
いや、ここでホロコースト論議をするつもりも、第一俺にそんな専門的知識も理論的根拠もない。思い出話をしてるに過ぎない。
それこそネトウヨ感覚でか、同業意識による反発からか、「七三一部隊の悪行」をテーマにしながら、ゲストの森村誠一氏のまえで、その本人の小説を紹介しながら、「要するになんですか、サドマゾ心理というやつですなあー」などとコメントしたのだ。森村氏が複雑な表情をしてことばを濁したのはいうまでもない。
軽いというか、ぞんざいというか、エロ小説も書いている作家が、もともとはエロ番組である『11PM』で「サドマゾ」といえば、即「SM」をあらわすのは目に見えている。「人体実験」「生体実験」がSMか、と、反発を感じながらも妙に悶々として萌え要素を感じたことを(笑)、いまはどう表現したらいいか迷っている次第である(汗)。
それにしても、ここのところ有名人の訃報が目立つな。
訃報ドットコムで最近の有名人の訃報をと見てみると……
シルビア・クリステル……オランダの俳優。
命日:2012年 10月17日 享年:60
『エマニエル夫人』かあ。
っていうか、「エマニエル」もいまでは片仮名変換してくれないなあー(泣)。ていうか、俺の記憶違いかと思い、ついつい映画名を入れて検索してたよ(笑)!
若松孝二……映画監督、映画プロデューサー、脚本家
命日:2012年 10月17日 享年:76
これねえー(しみじみ)。若松監督といえば、俺には『実録連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』しか思い当たらないが、あれが遺作にはならずに良かったと思う。なぜ作ったのか、なにがいいたかったのか、それでなにが得られたというのか、なにを訴えられたのか、すべてにおいて作った真意を疑うしかない訳の分からない映画だった。
あれで左翼が嫌いになった人は多いだろう。この時代にあんな映画はつくらないほうが良かったのだ。俺はそう断言する。