暑い夏。そのなかでも暑い8月、そのきょうは第一日目、福島の窮状を思い、また武藤類子さんの発言録を読んだ。
それをコピーします。
あらかじめおことわりしますが、画像は武藤さんではありません。国会包囲に呼応する京都の運動に使われたもので、個人的に気に入ってなにかのおりに紹介したいと思ってたものです。
では、以下に[さようなら原発1000万人アクション]に載った「さようなら原発10万人集会・発言録」から、武藤類子さん(ハイロアクション福島原発40年実行委員会)の『私たちはかしこくつながりあおう』の全文を紹介します。
暑い日差しの中を、「さようなら原発10万人集会」につながる皆さん、本当によく来てくださいました。主催者でもない私がこんなことを言うのはちょっと変ですけど、でも本当によく来てくださった、そう思うのです。
今日皆さんにお話したいのは、悲しみと困難の中でそれぞれが、本当によくやってきたね、ということです。明らかにされていく事実の中で、さらにがっかりすることや、驚き、あきれることもたくさんありました。数々の分断は、私たちをバラバラにしようとしましした。暗闇の中で傷つき翻弄され、混乱しながら、それでもつながり続け、一人ひとりが最善を尽くしてきたと思います。それがこの公園に広がる色とりどりの花模様です。官邸前の暑い金曜日です。日本中で展開される福島の子どもたちの保養プロジェクトや健康相談会です。日本のあちこちに市民の力で建てられた放射能測定所です。さまざまな人たちが立ち寄っていく経済産業省前テントです。いち早く、マンパワーを送り込んでくださった、障がいを持つ人を支えるネットワークです。被曝の中で行われた数々の除染実験です。見知らぬ土地で勇気をふりしぼった新しい生活です。「福島の女たち」の大飯原発弾丸ツアーです。1,300人以上の市民による集団告訴です。電力会社を訴える数々の裁判です。政治に訴えるあらゆる取り組みです。情報開示や自治体へのたゆまぬ働きかけです。インターネットで、瞬く間に広がっていく小さな報道です。映画であり、音楽であり書物です。各地に広がるユーモラスな福島の盆踊りです。いま私たちの上を飛ぶヘリコプターです。
そして今日、福島県の二本松市というところから、てくてくと歩いてやってきた人がいます。「灰の行進」の関さんです。この会場におられます。
彼は6月のある日、たった一人で東京へ向かって歩き始めました。かつて、3.11の事故が起きる前に、二人の若者が東京から福島までを歩きとおす、廃炉ウォークを試みようとしたことがありました。それは消費地東京から、原発現地の福島へ電気を送る道を逆にたどり、原発なき新しい世界のビジョンを考える行進のはずでした。しかし、今、電気の道をたどりながら、放射能に汚染された庭の土を背中に背負って関さんは一歩一歩、歩いて来ました。明日、東電と経産省に「あなたがたが出したものを返しに来たよ」と渡しに行くのだそうです。暑い日も雨の日もてくてく歩くうちに、ひとりふたりと同行者が増え、今日は、どれくらいの人々とともにこの公園へ歩いて来られたのでしょうか。
私たちは、今日ここで、「本当によくやってきたね」と自分をほめ、いま隣りにいる人をほめましょう。そして、深く息を吐き、体をいたわりましょう。私たちの行動を支えてきた大切な体です。これ以上、自分自身をすり減らしてはいけません。明日をかしこく生きるために、ひそかにほほえみをたくわえましょう。
しかし、それでも福島の現状はあまりにも厳しいのです。4号機、甲状腺検査、再稼働、ガレキ問題、安全保障、廃墟と復興の間で、ひっそりと絶たれていく命たち。
アメリカのジョアンナ・メイシーという人がかつて言いました。「絶望こそが希望である」と。福島原発事故という最悪の事態の中から、私たちはかすかな光をたぐり寄せ、今、このように青空のもとに集まっています。声なき声と共にあり、分断の罠にゆめゆめ落ち込むことなく、かしこくつながりあっていきましょう。
ともに歩んでいきましょう。
●世界へつながリンク●●
ユーチューブ動画『韓国KBS放送で日本の脱原発デモ運動を特集(「世界はいま」2012.7.27)』