あれから10年になるのか。
2日と日が変わったのできのうになるが、新宿歌舞伎町で多数が亡くなるビル火災があった日。あの日も、それから10日後のあの事件のことも、俺の日記には書いてあるはずだと見返してみた。
あの夜は、10日後にもそうだったが、映画を見に行ってたのだった。
日記を見返して、とっさには「?」と思った。
「きのうの出来事」が、なぜ9月1日の日記に書かれていたのかということだ。だから、ニュースがまちがいのはずがなく、俺の日記が勘違いと思ったほどだ。
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8月31日(金)曇り
夜は、[註(以下同):近所のラーメン屋]來集軒に。チャーハン頼み、あとから来たSさん[映画好きの常連オバサン]に『犯則王』を見に行くことを宣言。
[ホームページ]原稿書きのあと、8時40分ころ出る。
電車は出たあと。5分待ち。
9時、[バリアフリー、大江戸線]東新宿。
歌舞伎町で、ちょっと迷うが、開映5分前、9時15分切符売り場前に着く。
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抱腹絶倒『犯則王』
おもしろかった。ぱらぱらの入りだったが,抱腹絶倒,随所で笑いが絶えなかった。こんな現象は,笑いに活気があった初期のころの『寅さん』映画以来だろう。軟弱な世相と日常に流され,闘うことを忘れた現代人に送る一服の清涼剤と応援歌でもある。
11時過ぎに終わって、大江戸線に乗るため、帰りの道を急いだんだけど、職安通りまでの道々人がいっぱい。客引きやらミニの風俗嬢やらヤーさん風やら。結局11時半の電車は出ていて、20分待たされた。
新御徒町で途中下車し、[近所のスーパー]ヤマザキでつまみ買う。ミル貝はなく、赤貝[刺身]でがまんする。あとはサバの片身買って、寿町の[地元コンビニ]サンクスでは菓子買い、帰って飲んでたらニューステロップで、映画観ていたごく近所で火事が発生と出た。これがまさか……。
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9月1日(土)晴れ
*わずか2時間前まで映画……
びっくりした。
きのうのニューステロップのときはただの火事だと思ったのに、なんと44人も死ぬ惨事とは。ホテルニュージャパンのときだって、こんなには死ななかっただろう。ほんとうに、びっくりした。
しかし、火事はともかく、この歌舞伎町ビル火災だけは他人事だ。窓がひとつしかなく、人ふたりが通り抜けできるだけの階段に、それもつねに荷物が置いてあってじゃまをしている。それでガスが漏れてたんだって? なんで誰も気がつかなかったのか。[引用ここまで]
火事は0時以降の深夜だったのだ。
だから、その日の深更ということで31日の日記に書いてあったのである。
映画の帰り、おおぜいの人とすれ違ったが、いつに増して感慨深かったのを憶えている。もしや、あのなかに、それから数時間後の受難に遭って還らぬ人となった人がいるのではないか、ずっと心に引っかかっていた。
日記のなかの「他人事」の意味。
こちとら、ただでも幅を食う電動車イスである。
「窓がひとつしか」ないのはどうであれ、「人ふたりが通り抜けできるだけの階段に、それもつねに荷物が置いてあってじゃま」な場所になど、電動で行くわけもないし、行けるわけもないからだ。
ハンディが幸運に作用することもある典型例だった。
これから10日後が「9・11」ということになるのだが、そこまでの日記が、なかなか俺の人生を凝縮してくれている。
付け足しに、どうでもいいことだが(ほんとにカスのような出来事だが)福島原発事故に関する心情日記を綴ってきた関係上、避けては通れないので、ほんのメモ代わりに付しておく。
●トンデモ学者・山下俊一に「朝日がん大賞」
●春には東京電力がフジサンケイグループの地球環境大賞を受賞するはずだったが、福島原発爆発で東電は辞退?(どうでもいいよ、そんな与太話)
書くのもバカバカしい出来事。
メディアが狂った御用である以上、どんなキチガイ沙汰を演じても不思議はないのだが、いちおう朝日・フジというメジャーであるからには触れておかねばならない理不尽。
さっさと死ねよ! クソマスゴミ!!
(上画像:歌舞伎町地図。緑の矢印が火事のあったあたりです)
(下画像:韓国映画『反則王』DVDパッケージ)