●●●主要リンク
●アーカイブ(最初に出たページの“可愛い子ちゃん”クリックでメールフォームに!) ■SM鬼畜の殿堂《マダム・マルガリテの部屋ブログ》 ■原点回帰《ボログ・ホンマタイムス》 ■熱く燃えてたあの日々!《版下屋風雲録》 ●●●反原発・時事リンク ■『沖縄幻視行』必見!ポスト「噂の真相」 ★小出裕章(京大助教)非公式まとめ/講演「山梨と福島はつながっている」 ★みんな楽しくHappy♡がいい♪ ★ぼちぼちいこか。。。 ★ざまあみやがれい! ●新潟県上越と東京結ぶ市民コミ吉川タイムズ ●インターネット市民ブログJANJANブログ ★随時更新!原発・放射能情報(データ集積所) ●なくそう原発、滞納・不払いしよう電気代! ★脱原発系イベント情報 ●さようなら原発1000万人アクション ●原発ダイアリー ●森住卓のフォトブログ ●原子力資料情報室CNIC ●ラモス瑠偉オフィシャルブログ ●海外しくも1・ロンドンSW19から ●田中龍作ジャーナル ●ウェブ東京新聞 ●しんぶん赤旗 ★植草一秀の『知られざる真実』 ★福島原発爆発の元兇アメリカの真実!『“9・11”の本家はコレだぞ!』 ★至言!オススメ!『内田樹の研究室』 ★的確! 本命!『前田有一の超映画批評』 ★見どころ満載!『ブリキの映画館』 ★おでかけまえに(笑)『気象予報士Kasayanのお天気放談』 ↓ 以下おすすめ ●俺のお師匠!レスビアン小説の「Mikiko's Room」 ●人に歴史ありホンマの年賀状1982〜2008 ●お薦めリンク ●世界の架け橋(笑)ヌードリンク《fuskator.com》重いぞ! ●終焉に向かう原子力(小出裕章) ●『福島メルトダウン』より「考察」 ●『福島メルトダウン』全文/●必見!「原子力」 ●放射線と原発事故について短くわかりやすく解説(田崎晴明) ● ●“不具者は神か?!” ●シネINDEX ●『忠治意外伝』 ●大江戸線車イス漫歩 ●『愛康舎物語』 ●雑誌「記録」の時代 ●車イスヒッチハイク ●元祖「男の劇場」etc... ●エッセー等ホンマの仕事リンク ● ●“9・11”-本家はコレだ ●アトムの手話教室 以前の記事
2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 カテゴリ
全体 脱原発・抗戦マニュアル 東日本原発地震 映画大好き! 抗米レジスタンス 戦争 障害者問題 たまには本でも 食は命 創作喚起! マスゴミ H! この素晴しき日本 希望の光 全曜サスペンス 思い入れ映画10選 あと200本、死ぬまでに! ホンマの紅白歌合戦 最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
擬音〜「トテチテター!」(突撃ラッパ)
安造「うわあああーっ!」 清五郎「ひや、ひや……」 安造、突っ込む。 清五郎、一瞬ひるむが、すんでのことによける。 安造、思い余って闇のなかに突進、反転してふたたび清五郎への突撃を敢行。 だが、足を斬りつけられ、 安造「ギャッ!」 その場に転倒。 安造「イテテ、イテェー!」 安造の足に「血」と書いた紙—— 安造「(逆上して)ち、血だあああーっ! ああ、お母ちゃん、カタワになっちまうよおーっ!」 清五郎「けっ、てめえもヤクザの端くれならピイピイわめくねえ。みっともねえったらありゃしねえ」 安造「ヤクザだって痛いものは痛いんだよ、あーん」 清五郎、刀をしまい、財布から小判を1枚出す。 清五郎「ほら、おまえの取り分だ。取っとけ」 清五郎、1両を、その場にほうる。 安造、それをつまみ上げてガッカリ。 安造「たったの1両かよ! 2万5000円とは福祉手当並だな。これじゃトルコ風呂1回がせいぜいだぜ」 清五郎「ぜいたく言うねえ。命が助かっただけ御の字だ」 清五郎、大金を持って下手に足を向ける。 清五郎「俺は助五郎のところへ売り込みに行くぜ。おまえもうまくやるんだな。じゃ、あばよ。役人に捕まるんじゃねえぜ」 清五郎、下手に消える。 安造「畜生、命を賭けての稼業の退職金が、たったの1両とはバカにしてるぜ!(自分の足をたたいて)い、テテテ……」 安造、いまいましそうに立ち上がって刀を鞘に収める。 安造「これじゃ再就職も望めねえや」 安造、痛そうに足をさする。 安造「親分にゃ悪いが、こう不況じゃ、そう簡単に雇ってくれるところもあるめえ。我が身を考えりゃ、背に腹は代えられねえや。兄貴は飯岡へ行くって言ってたな。俺は大前田英五郎に相談を持ちかけよう」 安造、びっこを引き引き、 安造「おお、いてえ(上手客席に向かって怒鳴る)いてえよっ!」 安造、上手に退場。 安造(声だけで)「いたいよぉーっ!」 少しの間。 お町(声)「♪かーごめ、かごめ、かごの中の鳥は……」 子供B(声)「だめだよ、古いんだよ。あまりにも幼いの!」 子供C(声)「俺たちがいい歌教えてやるよ。せーの!」 子供B・C・D・E・F(声)「(歌う) ♪ウルトラマンの むすめ ウルトラマンの むすめ ウルトラマンの むすめ ウルトラ……… お町(声)「何よ、それ!」 子供B(声)「ああ、これからいいところなのに……」 下手からお町、盲目の子供2人の手を引いて登場。 お町「(中央にきて)ここでいいの?」 子供A「ここでいいわ」 子供B「お町ネエちゃん、ありがとう」 ほか3人「ありがとう」 お町「じゃ、何して遊ぼうか」 子供C「いいの」 お町「え?」 子供D「大人は入れない遊びなの」 子供E「悪いけど帰って」 子供たち「悪いねえ(とか何とか)」 お町「じゃ、帰るけど、そのあとはどうすんの?」 子供A「また迎えにきて」 お町「いつ?」 子供B「平均所要時間は15分から20分」 子供C「長い場合で30分として——」 子供E「合計で1時間かな?」 お町「なんのことだか分からないわ」 子供A「半刻(はんとき)くらいしたら、またきてよ」 ほか4人「おねがいします」 お町「じゃ、半刻したらまた迎えにくるわ」 お町、怪訝な顔つきのまま下手に退場。 子供A「それじゃ、始めましょうよ」 ほか4人「始めよう!」 子供たち、懐からトランシーバーを出して耳に当てる。 子供B「だけど、よく盗聴器なんか仕掛けられたな」 子供C「按摩の徳の市を買収して仕掛けさせたんだ」 子供D「早く聴こうぜ。終わっちまっちゃつまらねえ」 子供E「それじゃ、スイッチ・オン!」 ほか4人「オン!」 子供たち、固唾を呑んで聴き入る。 子供E「おお。おお……!」 子供C「やってるぜ。ちょうど真っ最中だ」 子供D「気がついちゃいねえ!」 子供B「上州屋のカミさんめ、凄ぇ声だぜ」 子供A「旦那さんの留守を幸い、いい気なもんだわ」 子供E「こっちまで興奮してきた!」 子供たち「ハッ、ハッ、ハッ……(興奮)」 そこへ上手から別な子供の声—— バカ息子「おーい」 盗聴途中の5人の子たち、声のするほうへ首を向ける。 バカ息子「おーい」 子供A「大前田のバカ息子だ」 ほか4人「あのバカ! ちょうどいい時に(とか何とか)」 上手から、洟垂れのバカ息子登場—— バカ息子「おーい、何してんだよ」 子供A「何もしてないわよ」 バカ息子「面白そうだな、おいらも寄せてくれよ」 子供B「なんにも面白いことはねえよ」 バカ息子「だって、ラジオ聴いてるじゃねえか」 子供E「ラジオ?」 ほか4人「ハハハハ……(笑い)」 バカ息子「落語でもやってるのけ? おいら知ってるぞ。目黒のサンマ」 子供E「おめえなんか、何も分かりゃしねえよ」 ほか4人「帰んな帰んな」 子供A「まあ待ちなさいよ」 子供B「よせよ、バレちゃうよ」 子供A「いいから、聴かせてあげなさいよ、みんなで《実況放送》して」 ほか4人「アハハハ……(笑い)」 子供E「なるほど、そういうことか!」 バカ息子「お、聞かせてくれるのけ?」 そういって5人に近づく。 子供たちに最初は無視されて、 バカ息子「エーン!(と泣く)」 しかし、周囲はレシーバーを聴きながら、だんだんエキサイト—— 子供A「あ、クライマックス!」 バカ息子「?」 ほか3人「邪魔するな、けえれ!(とか何とか)」 バカ息子「エーン!」 子供E「おかしいなあ」 子供A「え、なあに、あ太郎ちゃん」 ほか3人「何だ?」 子供A「どうしたって言うの」 子供E「女将さんの浮気相手、どうも俺の父ちゃんに似てるんだ」 子供A「ほんと!?」 子供E「ああーっ!(と、凄い悲鳴)」 ほか4人「ああーっ!(と、びっくり)」 子供E「やっぱりそうだ」 子供A「《あ太郎》って呼んだわ」 子供E「俺の父ちゃん、興奮すると息子の名前呼ぶんだ!」 ほか4人「あーああ……(と、あわてる)」 ちょうどそこへ、上手からお徳が通りかかる。 お徳「どうしたんだい、あんたたち」 子供たち「あ、お徳姉さん(とか何とか)」 子供A「ちょっと手引いてくれないかしら」 子供E「俺の父ちゃんが……俺の父ちゃんがたいへんなんだよ!」 お徳「(わけも聴かないうちから)え、そりゃたいへんだわ、じゃ、わたしに掴まりな」 子供E「うん」 そういって子供E、その手に子供A、B、C、Dつぎつぎにつながる。 お徳「どこだい?」 子供E「生糸問屋の上州屋!」 お徳「よっしゃ、じゃ、行くよ!」 子供E「(お徳に手を引かれて歩きながら心の声〜俺、こんだぁ妹が欲しかったんだ、父ちゃんによく言っとかなきゃ!)」 お徳と子供5人、下手に退場。 バカ息子だけベソを掻きながら残っている。 そこへ上手から大前田英五郎。喧嘩支度—— 英五郎「坊主。どうしたんだ?」 バカ息子「お父ちゃん、おいらもヤクザになりてえ」 英五郎「何言ってんだ」 バカ息子「だって今、メクラにメアキってバカにされたんだ。おいらも強くなりてえ!」 英五郎「それくらい何だ。図体ばかり大きくなって脳ミソの成長はサッパリなんだから、おまえは。すこしは頭で勝負しろっ!」 バカ息子「頭なんかより力だ。おいらもお父ちゃんみたいな強いヤクザになりてえ!」 英五郎「バカ野郎! お父ちゃんはヤクザなんかじゃねえ。いまじゃ、お上の十手を預かってるんだ。なんてこと言うんでえ」 バカ息子「だって、そんな格好して、またどこかへ殴り込みかけるんだろ?」 英五郎「使いよう無くなった廃棄物処分して世の中きれいにするんだ。これも土建屋の仕事でな。それより、おまえは早く帰って宿題すませて寝ろ。お母ちゃんが待ってるぞ」 バカ息子「ああ、そうだったね。今夜は日曜特番でピンクレディーが出るんだった。早く帰ってテレビ見なくっちゃ!」 いそいそ上手に退場。 英五郎「しようがねえガキだ(歩き出す)」 あとにつづく手下は、関取風と、チビ風の身内の子分と、酒徳利ならぬサントリーのデカ瓶提げた用心棒風の浪人——。 関取「おう!」 チビ「おう!(急に止まった関取にぶつかりズッコケル)」 英五郎「きょうこそ忠治のシマを俺のものにするぜ」 関取、のっしのっしとシコを踏み、 関取「腕が鳴りまさあっ!」 浪人「うーい、ヒック!」 デカ瓶をちびりちびり呷りながら、へべれけになっている浪人に顔をしかめ、 英五郎「先生、大丈夫ですかい? そんなに呑んで……」 浪人「大丈夫大丈夫」 チビが一歩しゃしゃり出て、 チビ「親分」 英五郎「なんでえ」 チビ「造反してきた安造が言うにゃ、忠治は病気だそうじゃねえですか」 英五郎「それがどうした」 チビ「だったら何もこんなに出張るこたねえんじゃねえですか。あっし1人で(と、力コブをつくり)大丈夫でやすよっ!」 英五郎「バカヤロー!!」 との一喝に、びっくりしてチビ飛び退く。 英五郎「聞くところによると、忠治にゃ座頭市がついてるって言うじゃねえか。用心してかからねえとケガするぜ」 チビ「だってメクラでしょう。メクラの剣法なんてメチャクチャに振り回すだけに決まってんだ。あっしは、その点だいじょうぶでげすよ。メクラの刀なんぞ滅多に当たるもんか。それより(関取見て)、おい、デブ!」 関取 なあんでえ チビ おめえなんか気をつけたほうがいいぜ。 関取 心配するには及ばねえよ。座頭市なんてのはマスコミが作ったデマだよ。マスコミってのは、たいしたことのねえもんでも、大袈裟に報じたがるもんでさ。座頭市たって、ただの曲芸師でさあね。 英五郎 ふん、そうかも知れねえが、用心に越したことはねえぜ。 そういって用心棒の浪人を見返り、 英五郎 先生、もう呑むのは止して下せえよ。お祭りに行くんじゃねえんだから。 浪人 ういー、ひっく!……いいからいいから、どうでもダメな時にゃ俺がきれいに始末をつけてくれるから、それは約束したとおりだ…… と、チビを指し、 浪人 おい、おまえ! チビ へっ!? 浪人 おまえが殺られたら、おまえ! と、関取を指す。 関取 俺、2番目? 浪人 そう。で、おまえがダメなら、あんたが出て行く。 英五郎 え、俺も? 指されて仰天!) 英五郎 あんたが主役? 浪人 ううん、あんたが主役。 英五郎 そうでげしょう! あっしにまで番が回ってきちゃしかたねえでしょう。何のための用心棒か分からねえですよ。そのまえに確かに殺ってくれなきゃ困りますぜ。 浪人 そうか。 英五郎 いいですか? 浪人 よし、分かった。 と、いきなり大刀を抜き放ち、大前田の衆「ぎょっ!」となる。それを尻目に、サントリーのデカ瓶を呷って、 浪人 ブーッ。(刀に吹きかけ、つぎには)ブーッ(はだけた胸元にも吹きかける)。 英五郎 何ですかい、それは? 浪人 ウフフフ……こりゃ内緒じゃ(意味深)。 そう言って、また酒を呷る。 浪人 ガラガラガラ(と、うがいの真似をしていたが)、ゴクン! いけね、呑んじゃった。ヒック、ヒック…… 呆れる英五郎。が、まえに向きなおると、 英五郎 野郎ども、それじゃ行くぞ! 子分3人 (拳を突き上げて)おおっ!! 音楽〜太鼓のテーマ ヤクザ4人、下手に退場。 入れ替わりにお町、去って行った4人の姿を心配そうに見送りながら下手から登場。 お町「あれは大前田英五郎と、その子分一味。ものものしい格好で……あっちは奉行所の方角じゃないの。するともしや親分の身に……(血相変えて)エライことだわっ!!」 お町駆け出し、上手に消える。 下手に弁士の席。そこにスポット当たり、弁士登場。 弁士「味方は去り、孤高の果てに取り残されし忠治と市。刻々迫る悲劇の時。不吉な夜のしじまを震わせ、啼くはカラスか虫の声。百尺下の水の深さは分かろうとも、誰か知ろう人の運命(さだめ)を。上州の山波を血に染めて、いま、よみがえるのか、あの居合い斬りが! 『深刻劇・座頭市と国定忠治意外伝』! いよいよ、これが最期の名場面——!!」 弁士のスポット消える。 音楽〜勇壮な太鼓のテーマ、だんだん小さくなって…… 第三幕第六場・大団円(お徳の家) 擬音〜お寺の鐘 入口に大八車を停めた、お徳の家の座敷。 忠治と市。市は煙管でタバコを吸ってる。 忠治「みんな行っちまったなあー」 市「行きやしたねえー」 忠治「シャバの風はつめてぇや!」 市「親分さん、口のほうは、もうすっかりいいようで」 忠治「あいつらが居なくなったせいかも知れないよ。エゴ丸出しのあいつらを見ていると、それだけで、それだけで、それ……」 と、また興奮して舌がもつれる。 市「いけねえいけねえ、落ち着いて親分!」 必死になだめられて、ようやくまた落ち着いた忠治に、 市「しかし、ほんとに冷たいもんですなあ」 忠治「いままで一緒にやってきた仲間というのになあ」 市「人の心と浮世の変わりようは水の流れておんなじなんですねえ」 と、しみじみ。 夜のとばりが音もなく下りて…… 忠治「なんだってなあ、メクラにゃ点字ってものがあるそうじゃねえか」 市「御存知でしたか?」 忠治「便利なもんができてるんだなあー」 市「おかげで助かっておりやす」 忠治「俺にも憶えられるかなあ」 市「そりゃあ、親分くらいなら御の字で」 忠治「点字ってのは穴を空けるんだって?」 市「その時にできたぶつぶつの組み合わせが《あ》だの《い》だのになるんで」 忠治「そいつは、いい智恵じゃねえか」 しきりに感心する忠治。 と、何を思ったか異を唱えた。 忠治「いや、いけねえいけねえ!」 市「何がいけねえんですかい?」 忠治「鶏はいけねえよ、ヤキトリの鶏は!」 市「ヤキトリの鶏の何がいけねえんですか」 忠治「ニワトリはダメだよ、鳥肌っていうだろ。ぜんたい身体中ぶつぶつしてるから、鶏に点字じゃ相性が良くねえよ。ダメだね」 と否定した。 が、しかし、 市「親分、点字ってのは紙に打つんでえ、物に打つわけじゃねえんで安心してくだせえ」 あわてて補足する市に、忠治納得。 そして、しみじみとまた振り返る。 忠治「市、おめえ、人の噂によると、助五郎の身内、だったそうな……」 市「へい。確かに助五郎親分のとこにワラジを脱いだこともありまさあ。しかし、ヤクザが役人と組んじゃいけねえ。そうなったら、もう、おしめえですよ」 忠治 そう、さなあー。 市 あっしはそんな堕落したヤクザなんかよりも、お役人に追われてる忠治親分のほうが、ずっと好きでやんすよ。 忠治 そう言ってくれるのは、もう、おまえだけになったよ。 と、首をうなだれる。 音楽〜太鼓のテーマ 市、仕込みを掴んで身がまえる。 忠治も—— 市「誰か来やすよ。人の足音がここへ上って来やす!」 と、お町が下手から駆けてくる。 忠治「おお、お町、おまえ戻ってくれたのか!」 お町「親分、たいへんよ。さっき大前田の英五郎が子分を連れて代官所のほうへ。きっと親分のことを密告しに……!」 忠治「なにぃーっ! おお、お町、おめえは危ねえから奥へ引っ込んでなっ」 お町「でも……」 忠治「いいからいいから、おまえはケガしちゃいけねえよ。さ、奥へ!」 お町、心配そうにしながらも奥へ—— 忠治「(刀をかまえ)クソッ、とうとう来やがったか!」 市も仕込みを左手に用意して、 市「2人、3人……5人、10人、いや、15人はいるようだ!」 と、立ち上がる。 忠治も刀を持って見得を切る。 そこへ奉行が岡っ引きと役人を引き連れて現れる。 背後には大前田英五郎と子分たち—— 忠治「うむむむむむっ。え、英五郎、き、き、貴様、俺を売ったの、かっ!?」 奉行「えい、黙れ黙れ黙れっ!」 奉行、鞭で制す。 奉行「そのほう忠治か?」 忠治「そうだ」 奉行「本物か?」 忠治「そうだ」 奉行、いぶかしがる。 奉行「5年まえに見た新聞の顔写真とはちがうようだがの」 岡っ引き「いえ、そんなことはありません。ここに人相書きを持ってきております。ほれ、ごらん下さい!」 そういって、おもむろに懐から出したB判全紙大の「WANTED」—— 奉行「何だ、これは。これは売れっ子コンビ、桃色娘のポスターじゃないか。何をしとる、バカ者が!」 岡っ引き「だって僕はファンなもので」 奉行「こんなものを肌身離さず持ち歩いておるのか」 岡っ引き「いえ、枕の下に敷いて寝てます」 奉行「まったく気色の悪い! 早く、しまえ、しまえ。それよりホンモノを出さんか」 鞭を振るって催促する。 奉行「無実の者を牢に入れたりすると、いまでは冤罪とか何とかで新聞もテレビも騒ぐからの。慎重たらねば。うん。その、漫画家・手塚治虫先生直筆になる忠治の似顔絵と見くらべて確かめたい。早く出さんか!」 岡っ引き「どうもすみません」 奉行「ホンモノを出せホンモノを」 岡っ引き、カバンからもう一枚のを出す。 岡っ引き「ほれ、このとおり、漫画家・手塚治虫先生直筆の似顔絵を持ってきておりますから。とくとご覧ください!」 こんどはまちがいなく、B判全紙大の模造紙に「WANTED!!」と大書した忠治似顔絵を呈示——。 奉行「ふむふむ、どちらもまさるとも劣らぬひどい顔じゃ。そのひどい顔を手塚先生直筆の似顔絵は克明に描写しておる。どことなく桃屋の花らっきょのCMを思い出すナ」 はい、いろんな角度からのホンマの顔写真を手塚プロに届けて描いていただきました! 岡っ引き、人相書きをしまう。 奉行、あらたまって向きなおり、 奉行「国定村長岡忠治郎、八州様の命により召し捕る。神妙に縛につけ!」 役人一同「(声をそろえて)御用だっ!!」 市、手で制す。 市「お役人さま」 奉行「何だ」 市「親分は病気だ。捕まえるのはいまでなくとも……」 奉行「えい、黙れ黙れ黙れっ! いま捕まえるのだ。いま捕まえねば、わしの手柄にはならんっ!」 市「どうでも捕まえると言うんで?」 奉行「そうじゃ。邪魔だてすると、うぬも同罪じゃぞ」 英五郎「このドメクラっ! 貴様、座頭市だそうじゃねえか。こんなところに出てくる必要はねえんだ。引っ込んでてもらおうか」 忠治、また興奮してくる。 忠治「うぬっ……むむむ……!」 英五郎「おう、忠治、おまえもヨイヨイになっちゃ年貢の収め時だなあ」 忠治「むむぅ……(と、怒り心頭)!」 火鉢に刀を引っかけて転倒する。 市「親分っ! 親分、興奮しないでおくんなせえ。この場はあっしにまかせてっ」 忠治は後ろへ下がる。 英五郎「野郎っ、お役人をまえに楯つく気かっ!?」 市「おう。大前田とか言ったな、おい」 英五郎「何ぃー!?」 市「これから講釈をするからよっく聴きな」 英五郎「けっ、小癪なぁ、うぬぬっ……!」 地団駄踏む英五郎。 市「(名調子で)俺たちヤクザはな、御法度の裏街道を歩く悪党なんだ。いわば世間の嫌われ者だわさ。まともにゃ、お天道様だって拝めねえってもんじゃねえか。それが何てこった。薄ぎたねー役人とグルになっちまって……!」 奉行「な、な、な、な……!!」 市「このうえ堅気の衆を虐めたり、仁義の道に背くようなまねをしようってのかい?」 英五郎「だ、だ、だ、だ、黙れっ!!」 市「そっちはドモリのようだな。目はつぶれても口はまだ達者だぜ。ドモリとメクラなら、ちょうどいい勝負かも知れねえよ」 英五郎「うーぬ、言わしておけば……この、ドメクラっ。だ、だ、誰でもいいからこいつを叩っ斬れっ!」 市、舞台正面から出て行く。 それから座敷外の、十重二十重と囲む敵のほうへ—— 音楽〜戦いをイメージする太鼓 役人「御用だ! 御用だ!」 英五郎「たたっ斬れっ!」 戦線を離れた役人I、座敷のなかに直進、御用提灯片手に、 役人I「御用だ!」 忠治「なんだ、おまえはっ!」 寝転がって下から斬りあげる。 役人I「ワァーッ!」 飛び退いて上手に退場。 忠治、刀を突いて起き上がり、客席に向かって見得を切る。 大前田英五郎、子分のそばへ。 チビ・関取「野郎っ!」 市にかかり、市から斬られ、 チビ「げっ!」 関取「ぎゃっ!」 英五郎「ヒヤ、ヒヤっ!」 おたおたしながら、滅多やたらに刀を振り回す。 役人A「御用だっ!」 突く棒を両手に水平にかまえて制するが、市に斬り上げられ、突く棒は(仕掛けにより)真っ二つに分かれて役人A退場。 英五郎「人殺しっ!」 刀を振り回しながら後ずさり。 市、それを追って行く。 囲みの輪が移動する。 役人H「御用だっ!」 他の役人と共に、ハシゴをかまえて市に突進。 役人B・C「御用だっ!」 奉行「神妙にしろっ!」 絶叫する忠治—— 忠治「市ぃ、市いるか!?」 市「親分、来ちゃいけねえっ!」 素手でハシゴを押しまくり、刀を振りまくる。 役人E・F「御用だっ! 御用っ!」 忠治「うるせえっ!」 と、火鉢に刀を突っ込み、濛々と灰神楽が舞い上が、らせる(笑)。 外では市の闘争。捕り方衆をなぎ払い、用心棒の浪人も斬り伏せた。 擬音〜「シャン、シャン……」(半鐘) 擬音〜「ピー、ピー……」(捕り方の呼子) 忠治「い、市市っ!」 市「親分、いけねえっ! 山を下りやしょうっ!」 そこへ、お徳—— お徳「おまえさんっ!」 忠治「おお、お徳、おまえも戻ってくれたのか。お町もいるぜっ!」 お徳「え? お町……!」 忠治「奥だ奥だっ!」 お町、奥から出てくる。 お町「あ、姐さん、下はどう?」 お徳「たいへんだよ、捕り方でいっぱいだよっ!」 お町「でしょう。ね、みんなで逃げよう。こっちよ。さ、姐さんも手伝って」 お徳「親分を大八車に乗せるのね。いいわ。わたしが運ぶから、お町さんは車押さえてて(と、忠治を抱きにかかる)」 お町「あいよっ!」 忠治を、その手に抱きながら、 お徳「さ、早く早くっ!」 お町「待って。いま行くからねーっ!」 お徳とお町、協力し合ってやっとのことで忠治を大八車に乗せる。 が、忠治、女2人を振り切って、 忠治「いや、いいんだ、女はどいてくれ!」 お徳「何がさ」 お町「どうしたのさぁ」 忠治「気持ちはうれしいが、男の道は決まってんだ。さ、市!」 市「へい、親分っ!」 市、忠治の大八車を引く。そして見得を切る。 市「きょうこそは大暴れができますねえー。見てくれだけの罷り通る世の中なんざ、あっしの仕込みでたたき斬ってやりまさぁーっ!」 忠治「それじゃ行くか!」 市「ハイヨーッ!」 お町「どこへ行くのよぉー」 お徳「いっしょに逃げないのかい?」 忠治「ネバー・ギブ・アップッ!」 刀を抜いて振りかざし、 忠治「まっすぐ突っ込むぜーっ!」 市「へいっ!」 大八車、動き出す。 お徳「そっちは奉行所の手の者が……!」 市「止めてくれるなっ」 お町「ダメェーッ!(絶叫)」 お徳「そっちは役人が、役人が……!(呆然)」 擬音〜「御用だ!」「御用だ!」の喚声—— お徳「おまえさーん!」 お町「親ぶーん!」 大八車、下手へ—— お町「親ぶーん、帰ってきてーっ!」 お徳「おまえさーん、戻ってきてよぉっ!」 擬音〜太鼓の音と「御用」「御用」の喚声が遠く、低く、ちいさくなって幕—— ●参照リンク●●「『深刻劇・忠治意外伝』予告篇」ドキュメンタリーの《記録》 写真撮影 芥川 仁 佐藤 光信
by web_honta
| 2017-05-07 13:50
| 障害者問題
|
ファン申請 |
||