きのうDVD『カティンの森』(下画像)を見た。アンジェイ・ワイダ監督の映画で、第二次大戦下、ソ連軍によってポーランドの軍将校、軍民警察官など2万2000人もの人々が銃殺された歴史的大事件をあつかったものだが、全体主義国家、共産圏の「汚点」とされる出来事で、友だちと一度見て以来今度で二度目。はっきりいって、二度三度と見たい映画ではない部類に入れられた不幸な作でもある。
いったいなんでこんな事件が起きたかというと、俺でも思い浮かぶのは戦後統治がしやすいように、軍人の長を根絶やしすることによって抵抗の芽=戦争力をなくすことにあったとしか思えないのだ。そのため、遺された妻子の哀しみ、苦しみはいかばかりか。
で、この際、これを機に手持ちのレジスタンス映画を抽出してみた。まずは某ブログ主がピックアップした6本だが、なんと、その2本まで俺の手もとにもあった。ブログ主さんの表記に従い、ない2本は別の作品と置き換えた。( )内は製作年。
『死刑執行人もまた死す』(43年)
『無防備都市』(45年)
『鉄路の戦い』(46年)『大列車作戦』(64)
『海の沈黙』(47年)『海の牙』(47)
『地下水道』(56年)
『影の軍隊』(69年)(上画像)
「海」つながり『海の沈黙』と『海の牙』がおなじ製作年という偶然にはおどろかされたが、『鉄路の戦い』『大列車作戦』は数字を逆に変えたくらいだから(笑)製作年が断然離れてる。
これもいま感じたことだが、各作品とも名だたる監督による映画なんだね。『死刑執行人もまた死す』はナチの迫害を怖れてさっさとアメリカに亡命したフリッツ・ラング、ネオ・リアリズム映画の記念碑的『無防備都市』はロベルト・ロッセリーニ、『大列車作戦』はジョン・フランケン・ハイマー、『海の牙』は『禁じられた遊び』や『雨の訪問者』も撮ってるフランスの名匠ルネ・クレマン、『地下水道』が『カティンの森』のアンジェイ・ワイダ、そして『影の軍隊』はジャン・ピエール・メルヴィルだ。
重いよ。そして確実に痛い。こうしてタイトルを入力しているだけで、その作品の冷たい感触に心がひりひり痛む思いだ。