ひさしぶりに見た。そしてじっくり堪能!
法廷もの映画の、おそらくは最高傑作。白眉。
これ、たしかに淀川長治さんの解説で見た気がします。「面白いですよ!」「怖いですよ!」「最期まで目が離せませんよ!」それら要素が渾然一体となって醸す映画のなかの映画。
上画像は主人公の弁護士ウィルフレッド・ロバーツ卿を演ずるチャールス・ロートンだが、死刑か無罪かを賭けた最期の土壇場で重要な証言をする「検察側の証人」(アガサ・クリスティの原作名でもある)がマレーネ・ディートリッヒだが、100万ドルの脚線美といわれた(事実、その脚に100万ドルの保険をかけてた!)その画像がもう一つの画像のコレだ(おなじく映画の一場面)。
大金持ちの未亡人殺しの嫌疑をかけられたレナード・ヴォールという主人公を美男俳優タイロン・パワーが演じ、虚実の両面を持つむずかしい役どころをリアルに演じていた。
はじめにも書いたが、原作はアガサ・クリスティー、ところが、俺がこれをテレビの洋画劇場で見たとき、ちょうど松本清張の全集を買って読んでるさなかで、「あれ? こんなの読んだぞ」もしくは「いま読んでるコレじゃないの?」という段になった(笑)。
ところが原作はアガサ・クリスティーとのことで、「まさか清張が盗作を?」とぶったまげた覚えがはっきり記憶にある。問題になったのがいつかは知らないが、事実、これは盗作問題に発展したんじゃなかったのかな。しかし、酷似してるのは一部とかなんとかで、盗作には当たらないとのことで決着したようだ。
小説を書くってのも大変だなと、そんな思いまでして見ていたものだった。
DVDで出ているので是非見てください。アメリカンヴィスタの横長、白黒ですが、この白黒がじつにくっきり感のあるコントラストだ。いまは古い名画が鮮明なDVDでいくらでも楽しめ、いい時代になったものだと、あれこれ名作を再見するたび実感する。
映画の終わりに、「この映画の結末を未見の人に話さないでください」という字幕が流れるパターンのさきがけでもある(笑)。