と書かなきゃまちがいなんだよね。「女性映画」というと意味がちがう。
いずれもCSで録画してDVDに焼いておいたもので、米中合作『ラスト、コーション』(2007年、アン・リー監督)と日本映画『お吟さま』(1978年、熊井啓監督)だが、前者はともかく後者はどうしたら一般に見られるのだろう。日本のDVD業界というのは、どうして日本映画の普及を推進しないのだろう。「商売にならない」とだけ手をこまねいていて自国の文化を潰していいと思ってるのだろうか。いずれは国を滅ぼすことだ。
映画の話にもどせば、どちらもきびしい映画だ。ネタバレ前提でいえば、どちらも主人公は最期には死ぬ映画だ。
俺は『MUSA_武士』でも『七人の侍』でも、最期に男どもが死ぬのはしかたがないと思ってる。男は義のため、民のため、女を生かすため死ぬさだめと決まってるようなもんだとも思ってるからだ。
だから女が死ぬなんてたまらない。
『ラスト、コーション』は、日本統治下の中国を舞台にしたスパイの話だ。
男がふたり出てくる。抗日運動に身を挺する男と、その男とは大学をいっしょにした女が、男をとおして密命を受ける。漢奸——侵略者日本の手先となって祖国を裏切った男の暗殺を手引きすることだ。それがもう一人の男イー(トニー・レオン)で、イーに近づき色仕掛けを仕掛けるヒロインがワン・チアチー(タン・ウェイ)だった。
しかし「ミイラ取りがミイラ」で、だんだん情が移って最後は、というのがお定まりの『ラスト、コーション』(原題「色・戒」)で、濃厚なベッド・シーンも話題になったが、俺のDVD−Rはかんじんの時に経年劣化?の不具合を生じ、最期まで見られるか否かでやきもきした(笑)。静止したり、またすこし再生されたりで、こんなにいらいらさせられたベッド・シーンもなかった(爆)。
原因はディスクの汚れで、そのあとクリーナーをかけて無事最期まで見られたのには「ほっ」としたが、映画は時代に逆行してて、危機一髪のところ、ワン・チアチーに「逃げて」といって救われたイーは、実権を取りもどしてからはワンやワンの仲間も逮捕して、立場上「処刑」を命ずるしかない(って、ほんとに何とかならなかったのか!)。
処刑の直接場面はないが、あきらめたような、すべてを受け容れて諦観したようなタン・ウェイのヒロインになりきった表情が見事だった。それだけに痛々しくて……
必見作!
一方の『お吟さま』だが、これは劇場で見ている。中野良子が好きで、その他『七人の侍』の勘兵衛=志村喬も出ているし(しかも、千利休!)、菊千代を演じた三船敏郎が豊臣秀吉役になって、悪虐の限りをつくして吟の自害を招き寄せ、父利休をも切腹させることに。熊井啓監督はさすが、権力者の愚劣と傲慢を余すところなく描破した。
●参照リンク●●市民タイムス
『熊井啓への旅』お吟さま③名優・志村喬の存在感
(画像もサイトから)