『三匹の侍』の桜京十郎である。
フジテレビのこのドラマでは、異色のキャラが際だっていた。なにしろ、郷里ことば「おえりゃーせん」で、百姓出を隠すどころか自分から吹聴して弱者の味方に立った。理屈抜きで弱者側だった。その点、ほんとうは卑屈なくせに、向こう意気が強いだけの『七人の侍』菊千代とちがって説得力と共感が持てた。
たぶん、実生活でもドラマとおなじ庶民性、人情味ある人だったのだろう。下積みが浅草喜劇だったという来歴からして、おなじ浅草人として——すみません、あたしゃとっくに(笑)、「生まれただけ」の佐渡なんか棄ててますので——よけい親近感が湧く。老衰だったというから大往生であろう(4日。81歳。岡山県出身)。
心からの冥福を祈ります。合掌。
(画像は上、代表作『三匹の侍』、下『めくらのお市物語 真っ赤な流れ鳥』から)